教育の業界では「教授錯覚」という言葉があって、教官が教えたことを学生が全てよく理解し得たと勘違いすることをというそうです。

これだけ丁寧に教えたのだから、今度の試験はみんな合格してくれるだろうと思っていたところ、思ったような成績が出なくて何が悪かったのかと悩んでしまう、そんなことは日常でもよくあります。
自分が常識だと思っていることでも、その常識が実は一般的でなかったりすると意志は通じ合えません。

例えば前回に書いた「α」や「β」。
読み方を知っている人には常識なのですが、これまで特に意識してこなかった方々にとっては、「なにやらaやBに似てるけど違うのかなあ？」と思うかもしれないわけです。
こんなのは常識だろう、誰かが教えたはずだと思うのはきっと傲慢な考えで、これも教授錯覚に陥っています。

年配者の常識が社会の常識と必ずしも同じではないと近頃思い始めてきました。
若い人の常識は年配者には理解できない面が多くあります。
でも、それも若い人には共有された常識なんですね。
年配者も若い頃は若い常識で年配者に疎(うと)まれてきた。
古代ピラミッドの落書きにも「最近の若者は・・」と書いてあったそうです。
常識がそれぞれ違う世代ごとにあって、お互いに尊重しながら受け入れていく。
わからないことは堂々と聞く。
そんな気持ちを大切にしていきたいと考えています。

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「α」や「β」はギリシャ文字で「アルファ」と「ベータ」と読みます。
続けて読むと「アルファベータ」→「アルファベート」、 アルファベットの語源です。