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愛グループからのメッセージ
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一般名処方
4月からいろいろ診療報酬の改定があり、その中でも薬局で影響が大きかったのは一般名処方でした。

一般名処方というのは、処方する医薬品の名称をロキソニンやガスターなどの販売名ではなく、ロキソプロフェン錠60mgやファモチジン錠10mgなどのように「成分名+剤形名+含量」、すなわち一般名で処方箋を記載することで、厚労省による医療費抑制策のひとつです。

一般名処方ならば薬局は先発医薬品やジェネリック医薬品群の中から自由に選択できることになります。
これによって薬価の安いジェネリック医薬品を薬局が選択しやすい環境になりました。

さらに病院側と薬局側どちらにも、ジェネリック医薬品の使用率を増やせば診療報酬が有利になるように点数配分がなされました。

薬剤師の裁量権が増えて、さらに報酬上有利にはたらく条件も増えたのですから、薬局側からしても悲願のひとつが叶ったと言えるでしょう。

この政策が成功してジェネリック医薬品の使用促進が進めば、医療費は削減でき、病院と薬局も診療報酬が増え、患者様のお薬代も減るという夢のようなことになります。

しかし病院や薬局にとっては良いことばかりではありません。
これまで長い間、お薬は販売名での取り扱いが普通でしたから、慣れていない成分名を目にしても対応する販売名がすぐには浮かんできません。
一般名には呪文のように長いカタカナのものもあり、読みにくくて覚えにくい名前が多数存在します。

「ベタメタゾン酪酸エステルプロピオン酸エステル軟膏」
「メドロキシプロゲステロン酢酸エステル錠200mg」
「メチルメチオニンスルホニウムクロライド錠25mg」

などの一般名見ていると、販売名処方からなかなか一般名処方に変わらなかった理由が分かるような気がします。
愛グループ薬剤師 向井
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気圧と体調
台風6号は九州の東側を通り過ぎて行きました。
子供の頃はどんな暴風雨がくるのかなとか、臨時休校になるかもとかの期待もあわせて、台風が来るとなると数日前から期待と不安で胸が騒いでました。
年齢が上がるにつれて台風は来て欲しくないと考える人が多くなる傾向にあるようです。
私は今でも台風を楽しみにしている面がありますが、大きな被害に遭ったことがないからだと思います。
台風被害に遭われた方々には心よりお見舞い申し上げます。

さて、台風までとはいかなくても、天気が崩れそうになると持病の神経痛が強くなったり、頭痛が気になってきたり、また喘息発作になりやすいというかたがいらっしゃいます。
また晴れだと血圧が上がるということもよく聞きます。
気圧と体調には密接な関係があるようです。
今回は気圧と自律神経の関係を見ていきましょう。

自律神経には交感神経と副交感神経の二つがあるのはご存じのとおりです。
まず、交感神経は体を動かすのに適した状態にもっていく働きを持っています。
気が張って緊張した状態、いわゆるアドレナリンが出た状態が交感神経が優位になっている状態で、心拍は早くなり血圧も上昇します。
一方の副交感神経が優位のときには体をゆったりさせるリラックスモードになります。
心拍はゆっくりになり、血管は拡張して循環がよくなります。
また消化管の動きがよくなり、消化液や気道の分泌物も多くなる傾向になります。

大まかに言えば活動するための交感神経、活動に備えて休息したり栄養を吸収しやすくするための副交感神経ということになります。
交感神経と副交感神経はシーソーの関係にありますが、振れ方に一定のリズムがあり、昼間は交感神経寄りに、夜間は副交感神経寄りになります。

自律神経のバランスは昼夜でうまく調節されていますが、気圧の変動でもバランスが変わることが知られています。

高気圧→空気の濃度が高い→活動に適している→交感神経優位
低気圧→空気の濃度が低い→激しい動きに不適→副交感神経優位

喘息は副交感神経優位になると起こりやすい病気です。
副交感神経優位のときは体は運動をしないことを前提にしているので、多くの酸素が必要ないため気道は狭くなることになります。
就寝時に喘息発作が多いのは、リラックスしている就寝時は副交感神経優位になって気道が狭くなっているからです。
台風前の急激な気圧の低下は副交感神経優位になりやすく、喘息発作が誘発される恐れがあります。
また天候が回復に向かっているときは交感神経優位になりやすいので、血圧上昇に気をつける必要があります。

気圧の体への影響は高気圧から低気圧、低気圧から高気圧に向かっている途中、すなわち気圧が変動している途中で出やすいとされています。
晴天が続いたり、また台風が来てしまっている状態では体はすでに気圧に順応してしまっているので、影響はないということです。

愛グループ薬剤師 向井
狂犬病
最近は野犬を見ることがほとんどなくなりました。
日本では50年ほど前に狂犬病は根絶されましたが、海外では未だ残っている地域もあるので海外旅行者は注意しておく必要があります。
全世界では狂犬病で毎年5万人以上が死亡しています。

狂犬病ウイルスは犬だけが保有できるわけではなく、哺乳動物なら全て感染している可能性があります。
実際、ネズミなどの野生動物に咬まれて発症してしまった例も以前はあったようです。
たまたま人間の身近には犬が多くいて、咬まれることもよくあったので狂犬病という名になったのでしょう。

狂犬病ウイルスが体内に入るとウイルスは神経を1日数ミリから数十ミリ移動し、脳に到達すると狂犬病を発症します。
このようにすぐには脳に行くわけではないので、狂犬病の場合は咬まれた部位が重要になります。
足先を咬まれた場合は余裕がありますが、肩などの脳に近い部位の場合はすぐに治療を始める必要があります。
発症してしまうと2~7日のうちにほぼ100%で死亡します。

発症してしまうと治療法はありませんが、咬まれても発症する前ならワクチンの注射により予防することができます。
狂犬病のワクチンは狂犬病ウイルスを接種して発症したヤギやマウスの脳から作られる動物脳由来ワクチンと、脳以外の細胞を使ってウイルスを培養した組織培養ワクチンがあり、日本などの先進国では効果と安全性の高い後者が使われています。

狂犬病にかかると刺激に非常に敏感になるため、音や光などが少ない夜間のほうが行動しやすいのですが、夜間でも満月になると光が刺激になるため落ち着きがなくなるそうです。
だから満月になると変身する狼男は、狂犬病ウイルスに感染してしまった人だったという説もあります。

昨夜は久しぶりに綺麗な満月でした。

愛グループ薬剤師 向井
腸内細菌
前回は乳糖を分解するのは小腸から分泌されるラクターゼだ、ということを解説しました。
しかしラクターゼが少なくても、大腸内に乳酸菌がたくさんいれば乳糖を分解してくれます。乳酸菌は腸内細菌の一種です。

大腸内には腸内細菌が100種類以上が存在しており、善玉菌や悪玉菌などを合わせて、100兆個以上もの腸内細菌が棲みついているといわれています。
実際はもっと多くの種類や数がいるようですが、そのほとんどは培養して調べようとすると死んでしまうので詳しくは判っていません。
腸内細菌の重さは大人で約1.0~1.5Kg、また排泄物のうち約半分は腸内細菌またはその死骸だと言われています。
腸内細菌と動物は共生関係にあります。
動物は腸内細菌に生きる場所を提供し、腸内細菌は入ってきた食物を分解することで貢献しています。

腸内細菌の勢力バランスは食事の質によっても大きく変化します。
野菜などの食物繊維やヨーグルト・納豆などの発酵食品が多ければ善玉菌と呼ばれる腸内細菌が優勢になり、高脂肪・高タンパクの食事が多ければ悪玉菌が幅をきかせるようになります。

腸内細菌のバランスは微妙で、入ってきた食事をうまく分解できる菌が優勢になります。
だから牛乳や乳製品など乳糖が多い食品が大腸内に入ってくると、乳糖を分解できる乳酸菌が多くなってくるのです。

整腸剤という分類の医薬品がありますが、これは善玉菌の「乳酸菌」や「ビフィズス菌」などが成分のものが主流です。
これらの善玉菌を腸内に整腸剤で定着させるには、同じものを少なくとも2週間は続ける必要があります。

大腸内に生息する腸内細菌が少なくとも100兆匹ということは、人の細胞は約60兆個なので、人間の体を会社に例えると腸内細菌に6割以上の株式を握られていることになります。
できることなら善玉菌に保有しておいてもらいたいものです。

愛グループ薬剤師 向井
乳糖不耐性下痢症
ある高齢の患者様から、
「私は小さい頃から牛乳を飲むと必ず下痢をしたのでずっと飲んでいなかったけど、焼酎を少し入れて飲むといいと友人から言われて、その通りにしたら大丈夫だったよ、はっはっは。」
という話をお聞ききしました。
牛乳で下痢をしてしまうのは、牛乳に含まれる乳糖を分解できない乳糖不耐性下痢症のためというのはよく知られていますが、それが酒を混ぜることで克服できた人がいたことは、科学的かはともかくとして驚きました。

乳糖は小腸から出るラクターゼという酵素で分解され吸収されます。
しかしラクターゼの分泌が少ない人が少なからずいて、乳糖がそのままの形で大腸に送られると乳糖の一部が腸内細菌によって分解され、その時できたある種の酸や炭酸ガスが大腸の壁を刺激したり、また乳糖が水分を腸壁から引き出してくるため下痢になってしまいます。

さて、人間は赤ちゃんのときこそ母乳を飲みますが、その後は離乳食に進み、ミルクは飲まなくなります。牛乳を飲んでいるのは牛がいるからで、家畜として牛や山羊がいなかった大昔は離乳後はミルクなんて飲んでいませんでした。
ラクターゼは母乳中の乳糖を分解するために用意されています。
動物界を見渡してみると、離乳後にミルクをのむ動物は自然界にはいません。
乳糖不耐性下痢症はここにカギがあります。

家畜が人間社会に入ってきてから離乳後もミルクを飲むことになりました。
離乳後もミルクを飲むようになったのは人類史上ほんの最近のことですから、離乳後にもミルクを飲むことは人間の体としては異常事態であり、実際、離乳後にはラクターゼの分泌活性は急激に低下します。
でも離乳後もラクターゼの分泌がある程度保たれ続ける人がいて、その人達が「牛乳を飲める人」というわけです。
だから牛乳が飲めないといっても別に不思議なことではなく、飲める人がラッキーだったとも言えます。
乳幼児期以来飲んでいなくても、また少しずつ飲み続けていくことでラクターゼの活性が戻ってくる場合もあります。

以前は乳糖不耐性下痢症の乳幼児のためにラクターゼが処方された時代もありましたが、現在は乳糖をあらかじめ分解してあるミルクが市販されていますので、ラクターゼは医療用医薬品からは消えてしまいました。

結局、酒と乳糖不耐性下痢症の関係はよくわかりませんでした。

愛グループ薬剤師 向井
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