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腸内細菌
前回は乳糖を分解するのは小腸から分泌されるラクターゼだ、ということを解説しました。
しかしラクターゼが少なくても、大腸内に乳酸菌がたくさんいれば乳糖を分解してくれます。乳酸菌は腸内細菌の一種です。

大腸内には腸内細菌が100種類以上が存在しており、善玉菌や悪玉菌などを合わせて、100兆個以上もの腸内細菌が棲みついているといわれています。
実際はもっと多くの種類や数がいるようですが、そのほとんどは培養して調べようとすると死んでしまうので詳しくは判っていません。
腸内細菌の重さは大人で約1.0~1.5Kg、また排泄物のうち約半分は腸内細菌またはその死骸だと言われています。
腸内細菌と動物は共生関係にあります。
動物は腸内細菌に生きる場所を提供し、腸内細菌は入ってきた食物を分解することで貢献しています。

腸内細菌の勢力バランスは食事の質によっても大きく変化します。
野菜などの食物繊維やヨーグルト・納豆などの発酵食品が多ければ善玉菌と呼ばれる腸内細菌が優勢になり、高脂肪・高タンパクの食事が多ければ悪玉菌が幅をきかせるようになります。

腸内細菌のバランスは微妙で、入ってきた食事をうまく分解できる菌が優勢になります。
だから牛乳や乳製品など乳糖が多い食品が大腸内に入ってくると、乳糖を分解できる乳酸菌が多くなってくるのです。

整腸剤という分類の医薬品がありますが、これは善玉菌の「乳酸菌」や「ビフィズス菌」などが成分のものが主流です。
これらの善玉菌を腸内に整腸剤で定着させるには、同じものを少なくとも2週間は続ける必要があります。

大腸内に生息する腸内細菌が少なくとも100兆匹ということは、人の細胞は約60兆個なので、人間の体を会社に例えると腸内細菌に6割以上の株式を握られていることになります。
できることなら善玉菌に保有しておいてもらいたいものです。

愛グループ薬剤師 向井
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